度数が増すほど危険な状態ということらしいが、身体の小さな猫は体液も少ないため軽症と思っていても容態が急変する場合があることを憶えておきたい。 ふらつき, 泡を吹く, ひきつけを起こす, 失禁なども熱中症の諸症状。 また、暑熱に晒された直後ではなく数時間後に症状が現れることもあるそうなので、心当たりのある時は猫に異常がないかどうか注意を払っておくと良い。 熱中症の症状が現れたら、とにかく涼しい場所でまず身体を冷やすこと。 ぐったりとしていたり、浅く速い呼吸をしていたり、体温が上昇しているような場合には、ほんの数分の遅れが命取りになりかねないので一刻も早い処置が必要。 猫の状態によって行う処置は異なるのだが冷やすことは鉄則。応急処置としてまず身体を冷やしながら、動物病院に連絡して獣医師の指示を仰ぐと良い。 水をかけると良いと言われているが、身体を冷やすには水を皮膚まで届かせる必要がある。また、直射日光下などの暑い場所で毛皮の表面だけ濡らすと熱のこもった身体が水の膜に覆われた状態になり却って危険だとも言われている。 熱中症以前の、暑がっている状態の猫の身体に凍らせたオシボリやペットボトルを当てたり、氷で撫でてやったり、濡らしたタオルを当てたりすると、身体を冷やす効果は実感できる。 それに猫は毛繕いで毛皮(の表面)を濡らして涼を取るワケだから、皮膚まで濡れなくてもある程度体温を調整する効果はあるはずなのである。ただそれらはあくまでも猫が元気な状態での効果。 動物の身体を冷やしたい折に必ずしも皮膚まで濡れる必要はないのかもしれないが、その時その時の動物の状態や周囲の状況によって、どんな手段を取るかということはケースバイケースということなのだろう。 ● 暑熱に晒されない場所で全身を常温の水に浸す(氷水厳禁) のが、いちばん手っ取り早く効率も良い方法。 ただし心臓が弱い猫や高齢の猫, 水を怖がる猫の場合、いきなり水を掛けたり浸けたりしないこと。パニックでショック死してしまうかもしれないからである。 そのような場合には ● びしょ濡れのタオルを首筋や四肢の付け根に当てる いずれの場合も身体は濡らしたままで休ませながら弱い風を当て、気化熱も利用してとにかく身体を冷やす。 猫に意識があり、様子が落ち着いて来て飲めるようであれば ● 少しずつ少しずつ水を飲ませる 水を飲ませると多少なりとも内側から身体を冷すことができる。また脱水状態を回避するためでもあるのだが、決して大量に飲ませないこと。脱水を起こしている場合に大量の水を飲ませると体液のイオン濃度が急激に薄まり危険なのだ。 心配であれば水の代わりに乳幼児用イオン飲料(または成人用を2倍以上に薄めたもの)を飲ませても良いが、これも少しずつ飲ませること。 飲めない状態であっても口元を水で濡らすだけでも多少の効果はあるのだそう。 これらはあくまでも応急処置なので、猫の状態が良くなったように見えても ● 病院に連れて行く ことをお忘れなく。より重篤な状態だった場合には濡らしたタオルでくるんだ保冷剤を猫の脇の下などに挟み込ませるなどの応急処置を行いながら大至急病院に向かうことになるが、その間もとにかく涼しくして冷やすことが大切。 急がねばならないが、間違っても炎天下で熱された車にいきなり乗せたりしてはイカンので、まず車の中をエアコンで少しでも冷やしておくのが吉。車が冷えるまでの間に応急処置もできるし、病院に連絡して獣医師の指示を仰ぐこともできるのだ。
【屋内で気をつけたいこと】 熱中症は病気というより飼い主の不注意による事故と言える。 ここまで書いておいて(しかも夏の日中に散歩させておいて)アレだが、熱中症の応急処置など行う必要に迫られぬよう、日頃の注意が肝心なのだ。 散歩なぞ酔狂という深窓の猫たちにも、熱中症の危険は案外とあるのです。 熱がこもらぬよう風通し良くしておけば、大抵猫たちは家の中で少しでも涼しい場所や居心地の良い場所を自分でみつけて暑さをやり過ごしてくれる。 やたらにエアコンで冷やし過ぎるのは猫にもニンゲンにもよろしくないので、飼い主と屋内で一緒過ごしている状態ならば左程心配は要らぬのではないかと思う。 子猫などは暑い盛りに遊びに夢中になって興奮し過ぎるとチト危ないけれど、一緒に居ればすぐに異変に気づいてすぐに対処できるはずだし、風通しの良い屋内ならば体温を下げるために休む場所は幾らでもある。 しかし猫に留守番をしていただく場合、風通し良くしておくのは防犯上難しい。閉めきった室内というのは異常な高温になることもあるのでエアコンに頼らざるを得ないが、留守中に停電が起こらない(あるいはエアコンが突然故障しない)という保証はないので、もしエアコンが動かなくても暑さを凌げるような工夫をしたい。
● カーテンを閉めておく 強い直射日光が入るような窓は、カーテンや雨戸を閉めておくことで室内の温度上昇が和らぐ。 ● お風呂場など、床にタイルが貼られている部屋を開放しておく ひんやりしたタイルの上に横たわれば猫は身体の熱を逃がすことができる。 床がタイルでなくともお風呂場は家の中で比較的涼しい場合が多い。 床が濡れても大丈夫なので氷水を張ったバケツなどを置いておける。 シャンプーや石鹸, 洗剤の類は猫が絶対に触れない所に移しておくこと。 ● 濡れてもいい場所に凍らせたバスタオルやペットボトルを置いておく 氷が溶けるときの気化熱効果で近くにいけば涼しい。 お盆などにのせれば床の材質を気にせずどこにでも置いておける。 小さなものはすぐに溶けてしまうので大き目のものが吉。ペットボトルは寝かせて置く。 ● 市販のひんやりマットなどを複数置いておく 色々なタイプを効果の持続時間を考えて複数組み合わせて使う。 アルミ板などは温まってしまうと効果がなくなるので日の当たらない場所に置く。 水を含ませるタイプは乾いてしまうと効果がなくなるので長持ちしない。 保冷剤タイプも溶けてしまうと効果がなくなる。 などなど工夫を凝らし、猫が好きな場所を選べるようにしておく。 飲水もあちこちに置いておけば安心。 このような工夫で留守中の閉めきった屋内でエアコンがなくても確実に熱中症を防げるというワケではないけれど、何もしないよりはいいだろうし、少なくとも凍らせたものが凍っているうちは多少の効果はあるはず。 エアコンなしでどれかを試してみて、留守中の家の中の暑さや効果の持続時間を確認しておくといいのかも。 ちなみに、冷やすという観点においては扇風機は効かないのだそう(!)。 汗をかくことのできるニンゲンは扇風機の風が身体に当たって汗が蒸発するときに涼しいと感じるが、汗をかかない猫は風が当たっても涼しくはないらしい。 この見解についてはワタシとしては多少ギモンが残る・・・。たしかに理論上はそうだけれど、ごろ太は子猫時代からごく弱い扇風機の風に当たるのが好きだし、外で風が当たると気持ち良さそうにしている。 そして、夏の風通しの良い場所の気持ち良さも、彼らは知っているように見受けられる。 ただ、動物というのは微風で毛が揺れると心地良く感じてリラックスするという説もあるので、風に当たる心地良さ=涼しさではないということなのかもしれないが、ホントのところはどうなんだろう? ただし、熱が特定の場所にこもらないように空気を動かす効果はあるので全く役に立たないとこともないはずなのだが、熱中症の危険回避のためにも「扇風機をつけていれば動物も涼しい」ワケではないのだ、と憶えておきたい。 屋内には他にも、熱中症を引き起こす可能性がある意外な落とし穴がある。 シャンプー後にドライヤーを長時間当てると熱中症になることがあるらしいのだ。 猫は大抵ドライヤーを厭がるから当てない方も多いだろうし、夏は毛皮が濡れてもそれほど身体は冷えないのでタオルでよく拭いたら自然乾燥させれば充分。 どうしてもドライヤーを当てるなら、エアコンを効かせて短時間で仕上げませう。 自然乾燥のときにはエアコンは不要。ニンゲンが暑くて敵わんというときも猫が冷え過ぎぬよう、少なくとも乾くまでは控えめに。 ついでに、熱中症は夏のものとは限らない。真冬にこたつなどの暖房器具によって熱中症が起こることもあるので、温度管理は適切に。 ボイラー室をお持ちの方は、くれぐれも猫を閉じ込めぬようご注意あれ。
【夏の通院と車】 ある実験データによれば、外気温22℃の炎天下で1時間駐車した場合の車中の温度はおよそ46℃まで上昇するのだと言う。 日陰に駐車したとしても車中の温度は少なくとも5~10℃は高くなるそうで、窓を少し開けておいたとしてもほとんど効果はないのだとか。 46℃って・・・猫や我々の平熱を遥かに超越した温度じゃん!! 気温30℃を超す夏の日中のアスファルト上の空気も、おそらくそのくらいの温度になっているはずで、驚いている場合ぢゃないし散歩してる場合ぢゃないのである(^^;)。 外気温22度程度でもそのような状態になるのだから、軽く30℃は超えるニホンの夏の車中は一体どのくらい暑いのか、考えただけでもオソロシイ。 猫とドライブするという方はあまり居ないと思うけれど、どうしても動物病院に連れて行かねばならぬということは誰にでも起こり得る。 更に外出や病院を怖がる猫の場合、厭がるあまり興奮状態になって体温が上がりやすいので、病院に向かう道中に熱中症にならぬよう気をつけてあげたいところ。 ● 車の窓ガラスに日除けをつけて ● 猫を乗せる前に充分車中を冷やし ● 念のため保冷剤や水を携帯し ● 決して車中に猫を置き去りにしない ようにして、安全な通院をしたい。 猫を入れたキャリーなどはなるべく直射日光の当たらぬ場所に。 診察が終わって車に戻った折にも、駐車中に車中の温度が上がっている。猫が暑がるようなら用意しておいた保冷剤などを脇に挟んで冷やしてあげませう。
【熱中症予防の色々なアプローチ】 ニンゲンの場合も同じだけれど、同じ気温・同じ湿度の条件において熱中症にかかりやすい個体とそうでない個体がある。前回の記事でも少し触れたが、 ● 子猫と老猫(体力が少なく体温調節が難しい) ● 北方原産種の猫(冬生まれの猫も暑さに弱い傾向がある) ● 被毛が厚い、または長い猫(熱が発散しにくいので身体にこもりやすい) ● 被毛が黒い、または黒っぽい猫(日光を吸収しやすく体温が上がりやすい) ● 被毛が薄い、または無毛の猫(日光が直接肌に当たり体温が上がりやすい) ● 鼻の短い猫(呼吸の際空気を充分冷却できず体温が上がりやすい) ● 太った猫(皮下脂肪が断熱してしまうので体内に熱がこもりやすい) ● 心臓・呼吸器に問題のある猫(苦手な体温調節を行うことが身体の負担) は暑さが苦手で熱中症にかかりやすいと言われている。 ただ、大抵の猫は過ごしやすい屋内に居るワケなので、それほど神経質になる必要はないはず。ウチの子は暑いの苦手なんだね、とわかっていればいいのである。 彼らの身体は気候の変化を感知して換毛を行っているはずであるし、被毛には日光や怪我などから身体を守る働きがあるのだが、長毛でなおかつ毛色の濃い猫のサマーカットは、日光を吸収しやすく蓄熱しやすい黒く長い毛の面積を減らすことになり体温調節を助ける効果があるのだそう。 逆に毛色の明るい猫の場合には被毛が日光を反射する働きがあるので、毛を刈ることが必ずしもベストではないのだとか(見た目には涼しそうだけど)。 そして長毛の猫はとても美しいけれど毛玉ができやすい。 長い毛足の中でフェルトのように固まった毛玉は彼らの体温調節を妨げるので、毛玉ができてしまっていたら切り取ってあげるほうが良さそうである。 こまめなブラッシングも、熱中症予防と言えるのかも。 太っている猫というのは熱中症以外の病気のリスクも増えてしまう。 肥満とは脂肪組織が必要以上に多くなること。 脂肪が1kg増えると血管は3000m延長されたことになるのだとか。心臓はその脂肪組織にも血液を循環させようとしてオーバーワークになってしまう。 皮下脂肪が増えすぎると皮膚への栄養血管にも負担がかかるし、身体の隅々まで十分に栄養をいき渡らせることが困難になる。 (それが皮膚病の原因となることもあるし、傷の治りが悪くなったりするそう) ダイエットで適正体重を目指したいところだが、急激な体重の変動は身体に良くないので、1日にカリカリ1粒ずつ減らしていければいいやという気分で気長に取り組むのがお奨め。年単位で少しずつ体重が減ればいいのだ!
ところで上記の条件に当てはまろうと当てはまらなかろうと、猫の暑さに対する感受性というのはそれぞれ違う、ということも忘れてはならない。 普段の生活(環境や運動量, 水分補給量, 食事の内容など)によって、なんと猫の耐暑性はある程度変化するのである。 3匹の猫と暮らしているワタシの知人によれば、同じ屋根の下に居るというのに1匹だけが軽い熱中症にかかってしまったことがあるのだそう。その猫はとてもおっとりした猫なのだが、彼ときたら夏の日中にサンサンと光の降り注ぐ窓辺で昏々と昼寝をしていたのだとか(笑)。 大事に至らなかったから笑い事で済むのだが、性格によっても注意すべきポイントが異なるのかも。 ● 生活環境や住宅事情 比較的気温の高い地域で生まれ育った猫はある程度の暑さに適応できる。 エアコンをあまり使わない家で暮らしている猫のほうが暑さに強い。 外出自由の猫も、外の暑さに慣れているので比較的暑さに強い。 (ただし帰宅時にエアコンが強くかかっていると体調を崩しやすい) ● 運動量 活動的でよく動く猫は体温調節機能がよく発達する。 また、筋肉組織は水分を保持するので、筋肉の多い猫は脱水症を起こしにくい。 ● 水分補給量 水分を充分に摂っている猫は、当然だが脱水症を起こしにくい。 そもそも猫というのはモノグサで、水分は食べ物に含まれているからわざわざ水を 飲まなくてもいいと思っているフシがあるし、少々水分が不足しても生きられる。 実際猫の「自然な」食餌とされているネズミなどの小動物を食していれば、その肉に 含まれる水分(血液も含む)は結構な割合なので大丈夫なのかもしれない。 けれども、缶詰やカリカリを食べているだけでは水分は不足しがちなのだ。 生肉を食べさせていたとしても、その肉は血抜きされてしまっているではないか。 ウチの子は水をよく飲むから大丈夫と思っていても、飲んでいる量は案外と少ない ということも多多あり、大抵の猫はやや脱水気味と考えてもいいくらいなのでは。 だから適切な量の水分を摂っていただけるよう、工夫が必要なのだ。 充分な水分=十分な体液となり、効率良く体温を下げられるようになる。 ● 食餌の内容 身体の各器官が正常に働くには、それぞれに適した栄養素が必要とされる。 必要な栄養素を吸収して利用するために、また別の栄養素が必要だったりする ワケで、バランスの良い食餌は体温調整機能を助ける。 良質な蛋白質を適量摂っていれば筋肉量も増える。 むむ・・・これってつまり健康的かどうかってことなんだよね。 暑くなってからじたばたするのではなく、日頃の生活が大切ということなのだ。 健康であれば身体というのは暑さや寒さに慣れることができる。慣れてしまえば身体は周囲の温度に適した処理をある程度効率良く行えるようになるのである。 体力と身体能力をつければ気温変化への許容範囲が広くなる、というところか? 急激に気温が変化すれば猫だって犬だってニンゲンだって按配が悪くなるのは当たり前で、急に高温に晒され身体が追いつけないから熱中症は起こるとも言える。 身体が慣れるためには徐々に暑くなることが必要で、その間に身体は脱水を回避して効率良く汗を出したり(ニンゲンの場合)、皮膚近くの毛細血管からより効率良く体熱を逃がすための練習をしているのだ。 この慣れるための準備期間はニンゲンでおよそ2週間と言われている。 また日本生気象学会熱中症予防研究委員会の熱中症予防指針によると、やや暑い環境で少しきつめの運動を1日あたり30分行うことを1~4週間続け、糖質とタンパク質を豊富に含んだ食品をコップ1~2杯摂ると効果があるのだそう。 (コップで摂る食品って・・・プロテイン飲料とかのことなんだろーか? ^^;) もちろん本格的に暑くなってきたら運動量は普段より少なめにする。 これをそのまま猫に当てはめることは難しいけれど、根本的な生理機能はニンゲンとそう変わらないはずだからして、春から陽のよく当たる窓辺で一緒に遊んだりベランダで日向ぼっこさせたり(日向ぼっこは運動ぢゃないが徐々に暑さに慣れるという意味で)と、応用の余地はありそう。 (ただ暑さへの感受性には個体差があるのでくれぐれも無理させぬようご配慮あれ) ごろ太には散歩という日課があるので、今年は春から梅雨明けくらいまで真昼間に散歩させる(虫や小鳥を追いかけたりして頼まなくても運動してくれるし)ということを試して来た。 食餌に関してはラクして缶詰生活なのでアレだが、季節を問わず意識して肉を食べさせたりしているし水分摂取にもかなり力を入れている。(*水分摂取の話も書かなきゃだよね ^^;、Kotora さん) その甲斐あってか今年はかなり暑くなっても昼間の散歩に出ると言われて困ることになった(笑)。 熱中症予防のつもりが熱中症になりそうな状況を作ることになるとは・・・。 でも、たしかに彼の耐暑性は例年よりアップしているように感じるのである。 これは「ウチの子健康自慢」では断じてない(笑)! むしろ食べ物を選好みしたりハンストしたり依存心が強かったり水を飲まなかったりで、どちらかと言えばごろ太は不健康なのではないかと常日頃感じている乳母なのだ。 そんな彼でも、意識して暑さに慣らしたら夏を元気に過ごせているというご報告なのです。
動物も我々ニンゲンも、気温変化が急激であるほど体調を崩しやすい。 前述したように気温の変化に徐々に慣れてもらう方法以外に その動物にとって快適な気温を常に保つというアプローチもある。 暑さに弱く屋外飼育には向かないチンチラやフェレットなどはそうして飼われていることも多い。諸々の事情により完全室内飼いが当たり前となりつつある猫も、同じように徹底した温度管理下で暮らしていただくという方法もあるのだ。 そうすれば熱中症の心配もないし、少なくとも気温変化で体調が乱れるということは理論上なくなるはず。(猫の場合気温23℃, 湿度50%くらいが適当?) どちらが良いとか悪いとかワタシには判断できないが、そうせざるを得ない状況というのもあるはずで、状況に応じた最良の方法を選べばいいのだと思っている。 ただ、我が家の場合には毎日散歩で外に出るワケだし、停電や災害などが起これば適性温度を保つことは不可能になるので、気温も含め周囲の環境の変化に猫自身がある程度対応できるようにしたいと心掛けているという次第。 なので、家を閉めきって留守にせねばならぬ場合と使わなければ間違いなく具合が悪くなる場合にのみ、エアコンに頼らせていただいている。 設定温度28~9℃で除湿するだけで室内はかなり快適になるから有り難い。 ついでに猫というのは肉食獣である。 肉を食べるというのは猫が生きていく上でどうしても必要なことなので食べさせないというワケにはゆかぬ。 されど食肉が我々の食卓に届くためには数多のエネルギーと飼料と、当然家畜の命もが費やされている。 その貴重な肉を食べなければ生きてゆけない猫を飼うというのはエコぢゃないのだ。ゼイタクなのだ。 だからせめて、それ以外のエネルギーをなるべく使わないようにしようとか、猫が食べる肉の分自分が食べる肉を減らそうとか、そのくらいの努力はしたいという個人的思想の問題でもあるのかも。 ・・・いや、ホントはただ単にウチが貧しいからなのかも(笑)。 ニンゲンと一緒であれひとりであれ、散歩に出かける猫が居る場合にはエアコンの効かせ過ぎに注意が必要。 これは飼い主が昼間出かけていて、家に戻ったときだけエアコンを点けるというような場合も同じで、屋内外の温度差が激しいと猫は大抵体調を崩す。 それは急性というよりはじわじわと起こる所謂夏バテのようなものなので、やはり体温調節がうまく行えないことによって起こる。長期間極端に食欲が落ちると脱水が起こったり肝臓の負担になったりするので気をつけたい。
【蛇足的散歩猫の熱中症対策】 もう十二分に巻物だしこの記事もここで終わりにしたいところなのだが、ワタシの忘備録も兼ねているのでご容赦あれ(^^;)。 ごろ太は気温が25℃を超えるようになると暑がって歩く距離が減り、散歩時間は徐々に外での昼寝タイムへと移行する。 (それに合わせて昼散歩を行う時間帯も午後3時スタートへと徐々に移行する) 30℃を超しているのに調子に乗ると、前回ご覧戴いたような開口呼吸が見られる。 初めて開口呼吸を目にした時は少々うろたえたが、そういった季節による推移を見るのも早4年目なので、少々開口呼吸したくらいでは乳母は驚かぬ(笑)。 たとえ暑くとも、寝転がっているだけだとしても、外で風や太陽を直接感じたいという彼の気持ちもよく解かるし、そうでなくとも飼い猫というのは飼い主に「ダメ」とか「あとで」ばかり言われがちなので、できることは自分で判断させて選ばせたい。 そんなワケで真夏の昼散歩はいつから夏休みにするのか、毎年ごろ太に決めてもらっているのである。 決めてもらっているのではあるが熱中症となると命に関わるので、乳母の中で幾つか線引きを定めていて、それが我が家での熱中症対策となっている。 まず、熱中症云々ではなく慣わしとなっているのが、夏冬を問わず ● 出発前には水を飲んで頂く こと。散歩の後シッコが出やすくなるのではないかという目論見(トイレに行きたくなると基本家に帰るので、散歩が少しは早く終わるんぢゃないかという企みでもある)から始めたのだが、脱水予防に少しは役立っているかも。 水を飲んでハーネスを着けたら、逸る気持ちを抑えて頂いて地面の温度チェック。 本当は土の上を歩かせられれば熱さはかなり違うのだが、残念ながら我が家の界隈はすべて舗装されている。近所に小さな公園があるにはあるが、普段行かないところだしコドモも居るしで散歩猫には敷居が高い。 我らの隊長の世界はアスファルトとコンクリートで出来ている。それが不本意であってもどうこうできる話ではないので、目の前の現実を受け止めて、 ● 火傷せぬよう散歩に出る前にアスファルトに触って熱さを確かめ ● さらにアスファルト上にしゃがんで猫がどのくらい暑いか確かめ ● 猫を外に立たせて、すぐに開口呼吸になったりしないか確かめる これらをクリアできればとりあえずその日の昼散歩は目出度く決行となる。 散歩と言っても、外が暑ければ以前お話したように日陰から日陰へとダラダラ歩いては休むという繰り返しなのだが、何故か衝動的に日向を歩き続けたり、さらには転げたり、小鳥や虫を追いかけたりして開口呼吸になったら ● 涼しい日陰で休憩して頂く 風通しの良い日陰(長時間日陰になっていた場所のコンクリートや金属製のマンホールの蓋は周囲の地面よりひんやりしている)が望ましい。実際猫も自らそういった場所を選んで休憩することが多いのだが、念のために ● 寝転んだ場所が熱くないかどうか必ず確認 するようにしている。熱い地面に寝転べば却って身体が熱くなってしまうし、地面の熱が内臓に伝わってしまうから。 地面に触ったりしゃがんだりして温度を確認し、猫が喘いだりぐったりしたりしていないかどうか、1~2分経過して開口呼吸が治まるかどうか様子を見たり、 ● 耳の皮膚や結膜の充血具合を確かめたり 本日の記事の冒頭にある写真のように、凍らせたオシボリ, 保冷剤, ペットボトルのいずれかを使って ● 猫の首筋や脇の下を冷やしたり と、隊長のご休憩中も乳母は大忙しである(笑)。 冷たいものを身体に当てられるのを厭がるようであれば無理に冷やそうとはしない。興奮させると余計に体温が上がって逆効果になるし、厭がる元気があるということはまだ身体に余裕があるということだと考えている。 しばらく休んで呼吸が整い、ごろ太がまた歩くと言えばおつき合いするのだが、数歩も進まぬうちに再び開口呼吸が始まるようであれば強制送還と決めている。 ● 猫が限界に達する何歩か手前で食い止める ことが、安全な散歩の鉄則なのだ! もちろん、日陰で休ませても開口呼吸が鎮まらないようなときも強制送還である。 が、早く帰りたいこちらの意に反して、そのようなことはまだない。 でも次は起こるかもしれない。 それにあと何年かしてごろ太が老いてきたら更に注意しなければならないし、自分で選ばせるワケにいかなくなる日が来るだろうな、などといつも思っている。 隊長の任務が今後も安全で楽しいものであるためにも、限界手前を見極めることが隊員の務め。・・・しかし紐つき猫との散歩自体ワタシの希望で始めたワケじゃないというのに、お伴はツライよ、と、自分の手をジッと見詰める乳母なのであった。 |